ハッカーが書いたエッセイ。いきなり「どうしてオタクはもてないか」で始まりヘコむ。なぜ「ハッカーは」じゃないんだ!
学生時代は異性がすべてというのは万国共通みたいだけど、アメリカは特に大変だなあと実感させられる。映画なんかでもよく出てくるよね。フットボール選手とチアリーダーのラブラブを横目にイジイジしてる男の子たちの話が。でもそのコンプレックスが才能を開花させていくんだと勝手に納得。
表題になっている「ハッカーと画家」とは、収録されているエッセイの題名で、以下の文からとられている。
–実際、私が知っているあらゆる種類の人々のうちで、
ハッカーと画家が一番良く似ている
日本じゃ絶対に受け入れられないだろうな。この国は芸術に関して頑ななまでに保守的で権威主義的だから、プログラマが正しく評価されるにはあと100年くらいかかるんじゃないかな。まず海外で評判になる必要があるだろうね。国内でいくら頑張っても足を引っ張られるだけ。変な話だけれど。
途中のエッセイは、ハッカー的なところとアメリカ的なところがゴチャ混ぜになってて微妙。成功や富、他を出し抜くスピードとか、そういうのはまさにアメリカ的で、あまり面白くない。はっきり言って薄い。
むしろLispという言語について蕩々と語る後半が面白い。それも「Lispが強力で他社が使わないから俺たちが成功した」って部分じゃなくて(そりゃあんたが天才だからだよ)、Lispの素晴らしさをラブレターのように書き綴ったところ。
私はハッカーではないからLispはほとんど知らなかったんだけど、あらためて調べてみたら面白いじゃん。この言語。何に使うかはともかく、ヤバい感じがする。
で、誰向きの本かというと。
まずは技術者。よくぞここまで言ってくれたという内容。日頃のうっぷんが晴らせる。
そして経営者。優秀な技術者をあつめてIT業界で金持ちになりたい人。ハッカーが何を考え、どういう理屈で行動するか知るのにうってつけ。
最後に、不幸にして身内にハッカーがいる人。彼らを理解するのは無理だが、訳が分からない人ではないことを知ろう。そのヒントが満載だ。