主人公はしがない化学の教師。学校では生徒になめられ、家庭ではヨメの尻に敷かれる平凡な人生。そんな彼が末期の肺ガンで余命わずかとの宣告を受ける。茫然自失しながらも、残される家族のために彼が選んだ道は、教え子を巻き込んでの麻薬密造だった…
初老の男の喪失と再生を描くブラックコメディ。シリアスな展開と極限のギャグが絶妙なバランスを醸し出しててすばらしい。この作品、早く観たくて仕方がなかったんだけど、なんとオフィシャルサイトで第一話が無料!なんちゅう太っ腹な。
それにしてもアメリカってすごいね。リーマンショックで映画の金集めが難しくなるや、景気の良いマーベルから金を調達。ダークナイトやらアイアンマンやらウォッチメンやら、漫画ベースの傑作を連発したかと思えばこれだ。
さえないオッサンを主人公にした話なんて、こんな企画が通ってしまい、しかもすばらしい作品に仕上がってしまうところが恐ろしい。彼らは、
「マーケティングに従って」
「金を使ってくれそうな人向けに」
「有名なタレントばかり使い」
「漫画とか知名度の高い作品から適当な脚本をでっちあげて」
作品を作り続ければ、まともな客はドラマから離れていき、市場規模が縮小し、結果として自分の首を絞めるって事がよーくわかってる。視聴率が悪いのは不況のせいだ!趣味が多様化してるからだ!違法にダビングして観てるからだ!と広告代理店みたいな台詞を吐いたって誰も助けてくれないからね。あたりまえ。
CSIという有名なテレビシリーズに、製作総指揮と脚本を担当しているアンソニー・E・ズイカーって人がいる。彼はCSIが始まる前はラスベガスで時給800円の観光案内をやってた。それが今ではVIPですよ。もちろん彼に才能があったのは間違いないけど、それを採用するところもすごい。金が稼げるヤツだとわかれば、年齢や職歴を問題にしないってのもアメリカ的。身内のコネでスタッフを揃えたらつまらない番組ばかりになって自滅するという事を彼らはよくわかってる。
そしてなにより、スポンサーがだまされない。つまらない映画を連発するようなプロデューサーがテレビ局の重役になったり社内抗争を繰り広げるなんて、スポンサーが許さない。そんな風土もあったりする。やっぱりアメリカは強い。
これが真の競争社会なわけで、敗者は這いつくばって泥水を飲むような生活になるんだけど、そうじゃないと面白い作品は出てこないんだよな。こりゃ追いつくのは大変そうだぞ。